HOME >> 生産者情報 >> シャトー・ド・ロワズリニエール(フランス/ロワール地方) 

↓INDEX↓
シャトーの歴史
--------------------
AOCミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌについて
--------------------
テロワールの特徴
--------------------
品種ムロン・ド・ブルゴーニュについて
--------------------
栽培・醸造
--------------------
各キュヴェの詳細
--------------------
プレス記事

ミュスカデ史上最古の品種
“ヴィーニュ・ブランシュ・ミュスカデ”が植えられた
ガブロ土壌の≪レ・グラン・ガ≫


ロワール河の河口からおよそ50km離れたナント市を中心に,ロワール=アトランティック県,メーヌ=エ=ロワール県,ヴァンデ県の境のコミューンで栽培される白葡萄,ミュスカデ。マスクメロンのような芳香が由来となって,別名ムロン・ド・ブルゴーニュ Melon de Bourgogne“ブルゴーニュのメロン”と呼ばれている。品種としての歴史は古く,1709年にこの地の葡萄が根こそぎ凍るという歴史的大寒波に見舞われ葡萄畑が全滅した際に,ブルゴーニュから移植された話は有名だ。では移植前には一体どのような品種の葡萄が植えられていたのだろうか?そんな疑問に答えられる人はそう多くはないだろう。ここにミュスカデのさらなる歴史を解き明かしてくれるドメーヌが存在する。シャトー・ド・ロワズリニエールだ。フランス革命以前の1335年から現存しフランスの国定歴史的建造物の指定をうけるシャトーは,今から約380年も遡る1635年(日本の江戸時代初期)にペイ・ナンテ地区のゴルジュ村でミュスカデの前身<ヴィーニュ・ブランシュ・ミュスカデ>を初めて植えたシャトーなのだ。事実これは村の公的文書にはっきりと記録が残っており,ヴィーニュ・ブランシュ・ミュスカデについて得られる唯一の資料であり,これ以前にミュスカデが植えられた記録は残っていない。



1335年の証書 les Actes du chartrierにも記されるシャトー・ド・ロワズリニエールの建物はフランス革命前の封建制度の時代から存在し,ゴルジュとクリッソン村あたり一帯で広く知られた著名なシャトーである。643年の間,領主がシャトーの所有者を代えたのはたったの4度。1代目モーリス・ル・メニェンMaurice le Meignen,1460年に子孫であるクロード・グレゾー Claude Grezeauが2代目となった。1613年にはジャン・グレ・ド・ラ・フォス・ド・ナント Jean Goulet de la Fosse de Nantesの一家が継ぎ1658年にはルイ・ド・ラ・ブルドネイ Louis de la Bourdonnayeが当主におさまった。1767年には第二次世界大戦で,ロワズリニエールにてレジスタンス活動を行ったことが知られる領主オーディベール Audibert家に渡り,2006年には現在の当主ジョルジュ・ヴェルディエ George Verdierと妻のイザベルがシャトーを購入した。ジョルジュ・ヴェルディエは,ロワール地方のネゴシアン,ジョゼフ・ヴェルディエ社の家系に生まれ,巨大ネゴシアンの5代目トップを30年余務めた後,第2の人生を賭けるべくヴィニュロンに転身した。太古から引き継がれてきた葡萄畑でのワイン造りと,シャンブル・ドットを営み,家族でワイン・ツーリズムに情熱を注いでいる。醸造はロワールのイケムと称されるシャトー・ド・フェール Chateau de Feslesや,ボルドー・サンテミリオン・グラン・ヴァン・クラッセのシャトー・ヨン・フィジャック Chateau Yon Figeacなど数々のシャトーを手がけるベルナール・ジェルマン Bernard Germain。

ミュスカデの前身<ヴィーニュ・ブランシュ・ミュスカデ>を
初めて植えたシャトー,シャトー・ド・ロワズリニール。
シャトーには過去の賃貸借契約書が保管されている。
その中でも特筆すべきは1635年の契約書である。
ミュスカデの名前が記された,現存する最古の文書である。
そこには次のように記されている。


Jean Goulet de la Fosse de Nantes seigneur de Loiseliniere baille a plusieurs particuliers de la paroisse de Gorges une piece de terre de 78 boisselees appelee ≪ Les Grands Gats ≫ dependant de la terre de l’Oiseliniere pour la planter en vignes blanches de Muscadet...

『ゴルジュの領主ジャン・グレ・ド・ラ・フォス・ド・ナントは,
小教区内の信者達に土地を分け与えた。
78のうちの1つはロワズリニエールにある≪レ・グラン・ガ≫と呼ばれる区画で,
そこに葡萄品種“ヴィーニュ・ブランシュ・ド・ミュスカデ”が植樹された。』

1635年1月20日 ゴルジュ


1979年原産地統制呼称に認定されたペイ・ナンテ地区でミュスカデから造られるワインは,「ミュスカデ Muscadet」,「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ Muscadet Serve et Maine」,「ミュスカデ・デ・コトー・ド・ラ・ロワール Muscadet des Coteaux de la Loire」,「ミュスカデ・コート・ド・グラン=リュー Muscadet Cotes de Grand-Lieu」の4つが認められている。その中のひとつ,ナント市の南東部に広がる,セーヴル河とメーヌ河流域に広がる砂利質または珪土粘土質土壌の「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ」は,グレーン Goulaine,クリソン Clisson,ゴルジュ Gorges,ムジロン・ティリエール Mouzillon-Tillieres,モニエール・サン・フィアクル Monnieres Saint-Fiacre,ル・パレ Le Pallet,シャトー・テボー Chateau-Thebaudなどのコミューンをもつ,面積,収量ともに最大のアペラシオンで,「ミュスカデに選ばれた大地」と呼ばれている。

シャトー・ド・ロワズリニエールの葡萄畑はセーヴル・ナンテーズ河の右岸に位置する勾配がなだらかな山の頂に,南西向き43ヘクタールに広がる。平均樹齢40年,一部区画では70年を超えるムロン・ド・ブルゴーニュが植えられている。とてもよく熟し,非常に凝縮された葡萄がロワズリニエール特有のワインを生み出す。

ガブロ土壌について
ペイ・ナンテ地区で最も広大なアペラシオン,ミュスカデ・セーヴル・メーヌには異なるテロワールがモザイクのように入り組み,分類するとその数は12以上になるとも言われている。ロワズリニエールの葡萄が育つゴルジュ一帯は,クリッソンの端まで広がる特殊なガブロ土壌よって構成されている。2001年に世界遺産に登録されワインの名醸地として知られるポルトガル北部のドウロ渓谷にも同じ地層がみられるこのガブロ(斑レイ岩)土壌は,マグマがゆっくり冷えて固まった火成岩(=深成岩)の一種であり,一般的にガブロ土壌から生まれたワインはアロマティック,豊満で口中の余韻が長く,何年もの保存を可能にするのに必要な骨格を供えるのが特徴。

ブルゴーニュの古代品種,栽培地域と時代により複数のシノニム(別名)を持つ。ロワール・アトランティック県ではミュスカデが通称であるが,シェール Cherではガメイ・ブラン,アンジュー Anjouではヴェルト・アン・アンジュー Verte en Anjou,ロワレ Loiretではペトワン Petoin,ラ・シャトル La Chatre(アンドル県Indre)ではプティ・ビオヌ Petit Biaune,またこの品種を16世紀にボージョワ Beaujoisからロワールに持ち込んだともいわれる人物ラトラン Latran※の名が代わりに用いられることもある。1709年,葡萄が根こそぎ凍ってしまった歴史的大寒波以降,ペイ・ナンテ地区に植樹され,10,400haに広がる。ムロン・ド・ブルゴーニュの発芽の時期は早く,霜には敏感である。若いうちから愉しめ,繊細な軽やかさをもつフレッシュな果実のアロマが表現される。近年,熟成したミュスカデが飲まれる傾向にあるのは,この葡萄がブルゴーニュに端を発しているが所以,熟成向きの品種ということだ。※諸説あります。



写真:ムロン・ド・ブルゴーニュ

栽培について
ドメーヌではリュット・レゾネを実践し,2012年までテラ・ヴィティスに所属。現在は団体からは脱退しているものの,常に自然環境に配慮した栽培と醸造を基本理念のもと化学薬品等の使用を抑え,健全で衛生的な葡萄栽培を続けている。堆肥の使用は10年ごとのサイクルで雌牛の堆肥を与えている。下草が生やされているが,耕耘は行なわれていない。葡萄樹はギヨ・ミックスで剪定。また,品質を上げるために,収穫時の葡萄の房の数は1株当り4〜7房になるようにグリーン・ハーヴェストで調整している。収穫は機械と,高級レンジのキュヴェ<レ・ジリュストル>に用いられる葡萄が育つ区画<シャントロー>の斜面は,熟練の摘み取り人が畑で選果,手摘みで収穫を行う。葡萄が最も熟れて最も衛生的な状態でカーヴに運ばれる。

醸造について
醸造コンサルタントは,ロワールのイケムと称されるシャトー・ド・フェール Chateau de Feslesや,ボルドー・サンテミリオン・グラン・ヴァン・クラッセのシャトー・ヨン・フィジャック Chateau Yon Figeacなどを所有し,数々のシャトーの醸造指揮を執っていたベルナール・ジェルマン Bernard Germain。果熟した葡萄とマセラシオンに注意した彼が提唱するロワール・ルネッサンス・スタイルで,葡萄の全ポテンシャルを保存,表現することを目指している。収穫・選果はすみやかに行い凝縮した果汁を圧搾し,糖度が豊かなフリーラン・ワイン,プレス・ワインと,アロマが同様に豊かな3番絞りに分けて発酵させる。前清澄は1〜2日間行う。発酵中の温度は,アロマを保つために10度前後にコントロールする。発酵後,二酸化硫黄の過度な使用は避け,ステンレス・タンクまたは樽で次の春が訪れるまでシュール・リー熟成させる。


シュール・リーについて
「澱の上で」を意味するシュール・リー Sur Lie。醸造過程で発生した澱をそのまま底部に残した状態でアルコール発酵後から最短でも収穫の翌年3月1日まで保存させる。そしてそのワインは一冬のみ発酵槽または樽内で保存され,瓶詰めされる段階まで澱引きせずに残しておかなければならない。葡萄自体の個性が控えめで比較的ニュートラルな品種とされるムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ種)においては,ワインに最大限の旨味を戻すための重要な技法となっている。シュール・リーはこの地域固有の醸造方法で,冬中ワインを発酵中の自然酵母から成る澱とともに熟成させる。この技法により,ワインはよりアロマティックで,円みを得て,同時に酸化から守られる。シュール・リー製法で造られるミュスカデは最上の品質で芳香豊かで,フレッシュさと申し分のない個性を備える。


ロワール・ルネッサンスについて
「ロワール・ルネッサンス」を提唱するベルナール・ジェルマンはシュナン・アンジュー・プロモーションという名の団体を創設し,シュナン・ブランをはじめロワールの脚光を浴びない品種の真の偉大な姿を広めるべく変革に取り組んでいる。醸造においての具体例を一部挙げると,低収量(45hl/ha),手摘みで2度の選果,6時間という長い時間をかけてゆっくり圧力を加える圧搾法,樽を用いた低温発酵(新樽20%,使用サイクル5年),シュール・リーでのバトナージュ,クロスフロー式濾過,SO2の添加は最大30mg/hlに抑える。これらの醸造技術が,ロワールの品種と地質,ミクロ・クリマと完璧なマリアージュを見せた時,ワインのもつ快活さ,新鮮さとエレガンスさにおいてライバルは存在しないと,ジェルマンは断言する。


ベルナール・ジェルマンからのメッセージ
ボルドーのドメーヌに生まれた私の醸造家としてのキャリアは1960年にスタートし,10年間に亘り父親から醸造技術の手ほどきを受けました。ボルドーのシャトー・ヨン・フィジャック,ロワール・アンジューのシャトー・ド・フェールを2008年まで所有し,葡萄栽培と醸造を手掛けてきました。私が醸造コンサルタントを引き受ける時の基準は,第一に偉大なる品質の土壌に植えられた歴史ある葡萄園であること。少なくとも平均樹齢は40年で生産力のあるよい状態の葡萄樹を保つために,台木から穂木まで品質の高いものが用いられていることです。シャトー・ド・ロワズリニエールは,これらの基準を満たし,品質の高さにおいて世界でも非常に稀なドメーヌです。低収量で収穫された葡萄がカーヴに持ち込まれるときにはいつも芳醇な香りが立ち込め,糖分が凝縮しマティエールが備わっている。これは葡萄園の樹齢の高さと,ミュスカデが1ヘクタールあたり8,000本のみという植樹比率の低さも大いに関係しています。可能な限りすばやく収穫,選果し,酸化を避けながら圧搾し最高でも温度は11度となるように調整します。そしてボトリングまでシュール・リー熟成されます。醸造はテクニックの1つではなく,もっと重要なものだと私は考えています。土やミクロ・クリマ,葡萄の樹齢,植樹比率,これらロワズリニエールの個性を生み出すものの中で,ドメーヌのワイン造りを特異で傑出したものにしているものの最たるは醸造です。私は情熱を注ぐワインの醸造に携わり,歴史的価値の高いシャトー・ド・ロワズリニエールでコンサルタントを務められることを幸運に思います。




写真:かつてオリヴィエ・ド・クリッソン Olivier de Clisson公在位時代、
この地は鳥類狩猟・保護区(ロワズリニエール)であったことが、シャトーの名「ロワズリニエール」の由来となっており、現在も鳥類保護協会(LPO)に加盟している。また、奇遇にもヴェルディエ(アオカワラヒワ)という鳥の名前を苗字にもつヴェルディ氏が2006年に当主となり、ヴェルディエ氏の妻イザベルがデザインした鳥の彫像が中庭を飾る。
Les Grands Gats Muscadet Serve et Maine, Blanc          *参考品*
/レ・グラン・ガ AOCミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー 白 2013
==>> 詳細はこちら
Chateau Jolys AOC Jurancon Doux, Blanc
/レ・ジリュストル AOCミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー 白 2013 ==>> 詳細はこちら
Les Pentes de Chaintreau, Blanc
/レ・パント・デュ・シャントロー ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー 白 2013 ==>> 詳細はこちら
La Fee Margot Methode traditionnelle (VIN MOUSSEUX), Blanc
/ラ・フェ・マルゴ メトッド・トラディショネル (ヴァン・ムスー) ==>> 詳細はこちら

Copyright@IZUMI TRADING CO., LTD. All rights reserved.