HOME >> 生産者情報 >> オルト・ディ・ヴェネツィア(イタリア/ヴェネト州)


サンテラズモ島
ワイナリー設立までの経緯
土壌微生物学の
世界的な権威
リディア&クロード
・ブルギニヨン夫妻
醸造コンサルタント
アラン・グライヨ
ジャン=クロード・マスも注目
サンテラズモ島のポテンシャル
“オルト”をオン・リストしている
レストラン
メディア情報
キュヴェの詳細

 イタリア北東部に位置し,「水の都」として知られるヴェネツィア。中世にはヴェネツィア共和国の首都として栄え,「アドリア海の女王」,「水の都」,「アドリア海の真珠」などの異名をとる。5世紀にゲルマン族の侵入から逃れるためにアドリア海の干潟(ラグーナ)の上に築かれたヴェネツィアは,海洋貿易での立国を目指し,十字軍の遠征による権益の拡大,ジェノヴァ共和国との戦争によって,その繁栄は最高潮を迎えた。その後,他のヨーロッパ諸国が地中海貿易に進出した上に大航海時代が始まり,アメリカ大陸や日本の発見などによって貿易の中心が大西洋や太平洋に移行したことによって,衰退の一途をたどった。

 ヴェネツィアは,ヴェネツィア本島をはじめ,ヴェネツィアン・グラスで有名なムラーノ島,カラフルな家が立ち並び,レース編みで知られるブラーノ島,映画『ベニスに死す』の舞台で,ヴェネツィア国際映画祭の開催地である人気のリゾート地リド島など100以上の島々が,400もの橋や150を超える大小の運河で結ばれている。

 さて,ヴェネツィア本島北側のフォンダメンテ・ノーヴェという停留所から13番の水上バスに乗ること約30分,本島に次ぐ面積を誇るサンテラズモ島 Isola di Sant'Erasmoにヴェネツィア唯一のワイナリーがある。“ヴェネツィアの畑”と呼ばれるサンテラズモ島は農業が盛んな地域で,アーティチョークが大きくなる前に蕾の状態で収穫した特産品のカストラウーラは,ヴェネツィアの春の味覚である。
*画像:ヴェネツィア唯一のワイン“オルト”と
13番の水上バス


 余談だが,イタリアでも最近は,「地産地消」という意味にあたる「キロメートル・ゼロ」という言葉が一部の環境意識の高い人々の口に上るようになった。その一方で,イタリアの農業はEU統合の影響を受け,生産者がEUの規格に合わせ,EUの需要に左右され,価格競争の激化に勝てず閉鎖に追い込まれる農家が植えているとのこと。


 2000年代初頭,フランス人で元TVプロデューサーのミシェル・トゥルーズ Michel Thoulouzeはヴェネツィアに移住することを決め,サンテラズモの沿岸部に180度のパノラマ・ビューを持つ別荘と島随一の土地を購入した。トルーズと彼の家族は17世紀に遡るサンテラズモ島の古地図を調べ,かつて貴族が所有していたブドウ畑であることを知り,島でのワインの生産を再開しようと決心した。


 しかしながら,そこは1966年11月のヴェネツィアの大洪水以降,過剰な塩分の混入によって,島の誰もが栽培を断念していた場所であり,購入時は,背丈ほどの雑草が生い茂り,荒れ果てていた。また,農業用水路は長年使用されておらず,泥が溜まっていた。

 トゥルーズは友人でクローズ・エルミタージュの神と呼ばれるアラン・グライヨに相談を持ちかけ,2人はここでブドウ畑を作ることにした。まず,世界的な微生物学者のリディア&クロード・ブルギニヨン夫妻に土壌の調査を依頼。その結果,ブドウ栽培の痕跡があり,ワイン造りに適った土地であることが判明した。こうして1年以上にわたり土に含まれていた過剰な塩分を取り除き,18世紀から使われていた用水路を復活させ,2003年には4.5ヘクタールの植樹に成功した。アラン・グライヨが選んだブドウはマルヴァジア・イストリアーナとヴェルメンティーノ,そしてフィアーノの3種。苗木はVivai Cooperativi Rauscedo社から購入した。マルヴァジア・イストリアーナはイストリア半島の海岸,ヴェルメンティーノはトスカーナやサルデーニャの海岸で栽培されている。フィアーノはDOCG フィアーノ・ディ・アヴェリーノの主要品種で,カンパニアの標高の高い場所で栽培されている品種だが,近年シチリアで栽培に成功しており,いずれの品種も海に近い環境に適した品種である。また,土地が肥沃であることからブルギニヨン夫妻の助言を受け,ブドウ樹の活力を減らす目的で接木せずに植樹を行った。塩分の多い環境と島の地形がフィロキセラからブドウ樹を守っている。

 
*画像〔左〕:ワイナリーのブドウ畑/〔右〕:排水用の運河

 ちなみに,“オルト Orto”とはイタリア語で「菜園」を意味する。「ヴェネツィアの畑」の異名をとるサンテラズモ島のワインに相応しい命名だ。トゥルーズは2007年にTVプロデューサーを引退,栽培と醸造に専念するために家族とともにサンテラズモ島に移住した。初ヴィンテージは2007年。アラン・グライヨのアドヴァイスを受け,トゥルーズ自身が醸造を行っている。

 2013年には,ヴェネツィアのブドウ園を復活させたことが高く評価され,ヴァルポリチェッラの名門・マァジ社が1981年に創設したマァジ基金/マァジ・プライズの1部門,“チヴィルタ・デル・ヴィーノ Civilta del Vino(ワイン文化))”を受賞している。

 アラン・グライヨの紹介で,オルト・ディ・ヴェネツィアの畑の地質調査を行ったリディア&クロード・ブルギニヨン夫妻は,1990年にLAMS(Laboratoire Analyses Microbiologiques Sols)を設立,土壌分析や長期的な土壌管理のコンサルティングを行っている。これまでに調査したワイナリーは,錚々たる造り手が名を連ねる:ジャック・セロス,ヴエット・エ・ソルベ(以上シャンパーニュ),ユエ,ディディエ・ダグノー(ロワール),DRC,ルフレーヴ(ブルゴーニュ),カノン・ラ・ガフリエール,ル・ピュイ(ボルドー),ボーカステル(ローヌ),エリオ・アルターレ,チェレット(イタリア),ピングス,ベガ・シシリア(スペイン),ハーラン・エステート,ボニー・ドゥーン(カリフォルニア)を含むおよそ400の造り手(調査件数は8,000件)。

 土壌の分析方法は,岩盤に穴を開け,表層,中間層,深層の3つの層から土壌を採取し,携帯用の顕微鏡で微生物を観察する。オルト・ディ・ヴェネツィアの場合,粘土質,石灰岩質に加え,ドロミーティ山脈(イタリア北東部にある山地で,東アルプス山脈の一部)の堆積岩質が検出された。また,ブドウの茎が発見されたことから,かつて栽培が行われていたことが判明した。過剰な塩分を取り除く作業,接木せずに植樹を行うこと,また,微生物のすみやすい環境の作り方など,そのアドヴァイスは多岐にわたる。

 クローズ・エルミタージュの神と呼ばれるアラン・グライヨ。電気工学を学び,農薬製造会社でエンジニアとして働いていた異色の経歴を持つ。4年の中米駐在を経てパリに戻り,ヴィニュロンたちと交流を深めるにつれ,自らワインを醸したいと思うようになった。ローヌ出身でシラー好きの彼は,1985年に後継者難で引き取り手を捜していたドメーヌを購入,1988年以降,栽培から瓶詰めまで一貫してワイン造りを行っている。

 ドメーヌはタン・レルミタージュの南,ポン・ド・リゼール村に位置するAOC クローズ・エルミタージュに20ヘクタールの畑を所有。収量を抑え,時期を遅らせ収穫した凝縮感ある果実に由来するワインは華麗でたくましく,北ローヌ最高の造り手の1人とされる。『ワイン・スペクテーター』は,《秀でた個性とずば抜けて豪華なワインを造る》と評し,『パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド 第7版』では,「アラン・グライヨは,サン・ジョゼフとクローズ・エルミタージュのそれほど高級ではないアペラシオンの新しい世代の精神的,品質的なリーダーである。彼は北ローヌの最も素晴らしいリーズナブルなワインを造り続けている。クローズ・エルミタージュのまぶしく輝くスターのうちの1人」とコメントしている。
   
 以下,『デカンター』の記事(2014年7月14日掲載)より抜粋:
 ラングドックのドメーヌ・ポール・マス(カルカッソンヌ近郊ペセナス)のオーナー,ジャン=クロード・マスがサンテラズモ島に4ヘクタールの土地を購入し,ヴェネツィア産ブティック・ワイナリーの生産を計画している。ジャン=クロードがワイナリーの隣にオープンしたレストラン,“コテ・マス”のデザインを担当したオルト・ディ・ヴェネツィアのミシェル・トゥルーズの弟が,ミシェルをジャン=クロードに紹介,ジャン=クロードは“オルト”の存在を知るに至った。
・・・ミシェルの“オルト 白”を飲んで,農地としての島のポテンシャルに驚かされた。塩水の氾濫のリスクさえなければ,ここの石灰石土壌は成功を約束している・・・
と語る。新鮮でユニーク,かつ精密な白ワインを造る目的で,フィアーノとマルヴァジーアなどを植樹する予定だ。

*ジャン=クロード・マス:
 ジャン=クロード・マスが手がける高品質なワインは,豊富な経験と鍛え抜かれた鋭い味覚で生み出される。「高品質かつヴァリュー・ワインであること」をモットーに邁進し,2006年:ワイン業界初の「最優秀国際起業家」(米アーンスト&ヤング),2008年:「ニュー・ウェーヴ・オブ・ザ・ワイン」(仏・レクスプレス誌)としてフランスの明日を担う30人の醸造家に選出,同年,「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」(英・ガーディアン紙),2015年:「世界で最も称賛されるワイン・ブランド」(Drinks International)の1つに選ばれている。

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