Vouvray Sec Cuvee de Silex AOC, Blanc/ヴーヴレ・セック“キュヴェ・ド・シレックス”白・辛口 2019
*ワイン名:ヴーヴレ・セック
“キュヴェ・ド・シレックス” 辛口 白
*原産国/地方:フランス/ロワール地方
*原産地呼称:AOC ヴーヴレ
*ブドウ品種:シュナン・ブラン100%
2000年以降,7度のパーカー・ポイント90点超えを成し遂げた,驚愕のコスト・パフォーマンスを持つドメーヌのスタンダード・キュヴェ。シレックス土壌のLes Girardieres レ・ジラルディエール,Les Perruches レ・ペリュシュ,Les Chairs Salees レ・シェール・サレの3つの区画で栽培されたブドウのアッサンブラージュによる。

*醸造
手摘みで収穫したブドウをダイレクト・プレスした後,果汁の酸化を避け,二酸化硫黄の添加量を少なくするために,不活性炭酸ガスを充満させたタンクに入れデブルバージュ(前清澄)を行う。その後,キュヴェに応じて温度管理機能付きのステンレス・タンクで発酵。発酵終了後,引き続きステンレス・タンクでシュール・リーの状態で定期的にルモンタージュを行いながら熟成させる。マロラクティック発酵は行わず,収穫の翌年の2月に瓶詰め。

きりっと引き締まったミネラル感,線香花火のようなフリンティな香りがあり,ほのかに塩味も感じられる。 *マリアージュ
アペリティフとして,あるいはハムやソーセージなどの豚肉加工品や,ソースを添えた甲殻類や魚の料理,シェーヴルにおすすめ。

*各誌の評価

ジャンシス・ロビンソン
◇2017年物  ★16/20点

『ジルベール・ガイヤール』に掲載のコメント
◇2015年物:輝く淡い金色。気品があり,マルメロやリンゴ,繊細なミネラルとフローラルな香り。絹のようなアタック。口中はリッチで生き生きとしている。はっきりとしてきれいな香り。根底にミネラルが感じられる。粘性があり,まとまっている。エネルギッシュでこのワインの気取らなさが良い。  ★88点/金賞(2016年版)

『ベタンヌ&ドゥソーヴ』に掲載のコメント
◇2014年物:繊細なタイプの美しいキュヴェ。バランスの取れた年のヴーヴレの成功例。
★16/20点(2016年版)

『ワイン・アドヴォケイト』に掲載のコメント
◇2015年物:輝きがあり,ピュアでフレッシュ。白い果実の上品なブーケと火打石のノートが感じられる。口内はピュアで辛口だが,かわいらしいジューシーさと,ぴりっとした酸味がある。シレックス土壌に由来するシュナン・ブランの上品さとミネラルが良く感じられる。辛口のミネラル感と甘みが完璧に調和していて,ボディがある(アルコール度数は13%)。“ル・プラン・ド・ジャン(モワルー)”より甘さはかなり控えめ。フィニッシュは長く複雑で,ぐっとつかまれる。素晴らしいフィネスと熟成のポテンシャルが感じられる。しかし,“ル・プラン・ド・ジャン”と比較すると,厳粛でスクリュー・キャップを採用しているだけいっそうカラフェに移すか,セラーで少し時間を要するだろう。直線的で痩せていて辛口のため,ブルゴーニュよりもリースリングに近い。  ★92点(227-2016年10月29日号)

◇2012年物:シュナン・ブランに由来するこのワインは残糖分が感じられるが,糖と酸味のバランスが取れている。フルーティーだが辛口。上品で凝縮感があり,マンダリン・オレンジやハニーサックル,柑橘類のオイルのノートに加え,チョークの湿った石のヒントがある。畑は火打石と石灰土壌で,ワインは土着酵母で発酵。残糖は1リットルあたり8.77グラム,アルコール度数は12.8%。  ★89点(211-2014年2月号)

◇2010年物:手頃な価格の素晴らしい辛口のヴーヴレ。2010年のシレックスは豊潤で花のような魅惑的な香りを発散する。ミディアム・ボディで爽やかでピュアな風味に,火打石のような魅力的な個性が加わっている。やや残糖分があるが,良好な酸のおかげで,その構成要素が消されている。  ★90点(196-2011年8月号)

◇2009年物:フーケのヴーヴレ・シレックスの2009は,控えめだが,微妙に顕著で,ワインを支えている残糖とともに,間違いなく,多くの造り手が「柔らかな辛口」と形容する特徴となった。彼の単一区画は,“ジラディエール”も豊かな火打ち石の土壌に由来するが,このキュヴェの土壌の起源も名前から明らかである。新鮮なマルメロやペルシャ産のメロン,すいかずらなどの香りが,繊細で絹のようなテクスチャーの口中へと誘う。バランスは完璧で,柑橘類の皮の砂糖漬けの甘酸っぱいヒントとともに,濡れた石のミネラル感が感じられる。フィニッシュにはクエン酸のさわやかさと,しっかりとしたミネラル感が残る。

ベルナール・フーケの複数のレンジのキュヴェをテイスティングするのは,恥ずかしながら初めてで,彼を訪ねたのも初めてだ。フーケは味わいの指標として,ラベルに“セック”や“ドゥミ・セック”と表記しない傾向にある(このトレンドは,特にフーケの隣人である有名な2つの生産者に反対されている。彼らとは,唯一フーケを超えることのできるフォローとユエだ)。多くのドイツのリースリングの造り手のように,ワインの甘さはラベル上に記されたアルコール度数が最も確かなヒントとなる。ただし例外なのは,ラベル上に“セック”の記載があっても,2009年以降,フーケのワインたちは完全に辛口であることは間違いない。  ★90点(190-2010年8月号)

◇2008年物:ベルナール・フーケのヴーヴレ“キュヴェ・ド・シレックス”の2008年物は10月8日まで収穫されず(潜在アルコール13%),ワインには完熟した果実とボトリティスのヒント,そして1996年を思わせる輝きがある。ライチ,イエロー・チェリー,ミラベル,マルメロ,水仙の香りに続き,ムスクを思わせる微かにオイリーで石灰を感じさせる蜂蜜漬けのような印象ながら,鋭く強烈な味わいが現れる。この濃厚さと明白に高い抽出物にシュナンだけが(中央ロワールだけでもある)持つ鋭さと快活さを併せ持つ。6グラムの残糖は長く続くフィニッシュに,黄色い果実と蜂蜜のヒントを美しく解き放つ。この恐ろしく凝縮しながらもエレガントなワインは,最低6年熟成させる価値がある。
★92点(184-2009年8月号)

◇2007年物:ベルナール・フーケは,2007ヴィンテージの困難を乗り越えた結果,“キュヴェ・ド・シレックス”2007年物は,傑作の2005年物に並んでも見劣りしない出来となった。このかなりドライなヴーヴレは,ムスクのような甘苦い水仙を思わせる花のノートと新鮮なマルメロ,モスポール(虫除け玉)のほのかな香りを持つ。爽快なほど快活で,柑橘系果物の皮のような苦味も有するが,透明感や2002VTのワインが持つ押し寄せるような気迫ある味わいに欠ける。しかし,余韻は素晴らしく長い。今後2-3年は楽しめる。★90点(178-2008年8月号)

◇2005年物:フジウツギや白スグリのゼリー,レモンの種,ミントの生き生きした香りを持つ。口中では香りそのままの印象の後に,花の香りや岩塩のミネラル感が押し寄せ,極度の鋭さと複雑さ,そして神秘的なバランスと説得力のあるメッセージと相俟って,飲む者の気持ちも舌もリフレッシュさせてくれる(ところで,たった5mgの残糖につき過去のリリースよりかなりドライに仕上がっているが,フーケはミネラルが輝きを放ち,このヴィンテージが持つふくよかな得汁に補完するれべうにまでワインを押し上げた))。
もし全世界の白ワインの中で,これ以上に価格と品質のバランスが優れたワインがあるなら,ぜひ教えて欲しい。今,ベルナール・フーケはステンレス・タンクを主に用いて醸した彼のユニークなヴーヴレの質を,フォローやユエが位置するトップ・レベルにまで引き上げている。それは世界中のいかなる白ワイン生産者にも難しい挑戦と言えることである。しかもこの絶対的なコスト・パフォーマンスで挑みをかけたのだ。彼の最近の出来は,彼の出現を確かなものにしている。  ★93点(172-2007年8月号)

『ヴィノス(現インターナショナル・ワイン・セラー)』に掲載のコメント
◇2013年物:緑がかった黄色の色調。桃やミントのアロマ。甘いドライ・フルーツの香りがわずかに感じられ,ハーブや苦味のあるオレンジ・ピールの香り。フィニッシュは麦芽のノート。これは私がしばしば楽しむシュナン・ブランだが,2013年物は試飲した時点ではまだその魅力が隠れていた。  ★87点(2014年12月号)

◇2008年物:緑のヒントと明るいゴールドの色合い。梨や桃,花のニュアンスを伴う蜂蜜とミントの香りが感じられる。みずみずしく優しい甘い果物の種とメロンのフレーバーが豊かなハーブとビター・オレンジのエッセンスによって引き立っている。甘さとたくましさがうまく融合し,フィニッシュは素晴らしい透明感とともに,マロ割りつくようなオレンジ・ピールのノートが残る。私なら,魚屋チキンを使ったあまり辛くないタイ料理にこのワインを合わせたい。
★90点(2010年5-6月号)

『ワイン・スペクテーター』に掲載のコメント
◇2010年物:純粋で飾りがなく,青リンゴや梨,カットしたライムのジューシーでフレッシュな香り。心地良いフィニッシュ。飲み頃のワイン。  ★87点(2011年10月号)