|
◆ジャック・ボワスノの経歴◆
1938年9月10日ベイルート生まれ。ボルドー近代中等学校卒。バカロレア取得。ボルドー大学卒業。1964年,醸造学の免状を取得。エミール・ペイノーの研究所での仕事と平行して,ポイヤックに醸造研究所を設立,1966年から所長を務める。1976年,ラマルクに自身の醸造研究所を設立。また,エミール・ペイノーのビジネス・パートナーを務める。現在,メドック,サンテミリオン,ポムロール,フランス国外で,約260のシャトーの醸造コンサルタントを務めている。
|
|
*ボルドー主要コンサルタント先
ラフィット・ロートシルト,マルゴー,ラトゥール,オー・ブリオン,レオヴィル・ラス・カーズ,ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド,コス・デストゥルネル,パルメ,ランシュ・バージュ,グラン・ピュイ・ラコスト,ローザン・セグラ,レオヴィル・バルトン,ブラーヌ・カントナック,ピション・ロングヴィル・バロン,デュクリュ・ボーカイユ,ディッサン,ラグランジュ,ジスクール,カントナック・ブラウン,カロン・セギュール,タルボ,ブラネール・デュクリュ,ベイシュヴェル,ポンテ・カネ,オー・バタイエ,ドーザック,デュ・テルトル・・・。
|
|
*海外主要コンサルタント先
アンティノーリ,コンチャ・イ・トロ(アルマヴィーヴァ)
|
|
メドック格付け(1855年)の中でボワスノ親子がコンサルタントを務めるシャトー(赤色)は実に6割近くに及ぶ。
|
第1級 |
Chateau Lafite-Rothschild, Pauillac |
Chateau Latour, Pauillac |
Chateau Margaux, Margaux |
Chateau Mouton-Rothschild, Pauillac |
Chateau Haut-Brion, Pessac-Leognan |
第2級 |
Chateau Brane-Cantenac, Margaux |
Chateau Cos-d'Estournel, Saint-Estephe |
Chateau Ducru-Beaucaillou, Saint-Julien |
Chateau Durfort-Vivens, Margaux |
Chateau Gruaud-Larose, Saint-Julien |
Chateau Lascombes, Margaux |
Chateau Leoville Las Cases, Saint-Julien |
Chateau Leoville Poyferre, Saint-Julien |
Chateau Leoville Barton, Saint-Julien |
Chateau Montrose, Saint-Estephe |
Chateau Pichon-Longueville-Baron, Pauillac |
Chateau Pichon-Longueville-Comtesse, Pauillac |
Chateau Rauzan-Segla, Margaux |
Chateau Rauzan-Gassies, Margaux |
第3級 |
Chateau Boyd-Cantenac, Margaux |
Chateau Calon-Segur, Saint-Estephe |
Chateau Cantenac-Brown, Margaux |
Chateau Desmirail, Margaux |
Chateau Ferriere, Margaux |
Chateau Giscours, Margaux |
Chateau d'Issan, Margaux |
Chateau Kirwan, Margaux |
Chateau Lagrange, Saint-Julien |
Chateau La Lagune, Haut-Medoc |
Chateau Langoa Barton, Saint-Julien |
Chateau Malescot-Saint-Exupery, Margaux |
Chateau Marquis d'Alesme-Becker, Margaux |
Chateau Palmer, Margaux |
第4級 |
Chateau Beychevelle, Saint-Julien |
Chateau Branaire-Ducru, Saint-Julien |
Chateau Duhart-Milon-Rotschild, Pauillac |
Chteau Lafon-Rochet, Saint-Estephe |
Chateau La Tour Carnet, Haut-Medoc |
Chateau Marquis de Terme, Margaux |
Chateau Pouget, Margaux |
Chateau Prieure-Lichine, Margaux |
Chateau Saint-Pierre, Margaux |
Chateau Talbot, Saint-Julien |
第5級 |
Chateau d'Armailhac, Pauillac |
Chateau Batailley, Pauillac |
Chateau Haut-Batailley, Pauillac |
Chateau Bellegrave, Haut-Medoc |
Chateau Camensac, Haut-Medoc |
Chateau Cantemerle, Haut-Medoc |
Chateau Clerc-Milon, Pauillac |
Chateau Cos-Labory, Saint-Estephe |
Chateau Croizet-Bages, Pauillac |
Chateau Dauzac, Margaux |
Chateau Grand-Puy Ducasse, Pauillac |
Chateau Grand-Puy-Lacoste, Pauillac |
Chateau Haut-Bages-Liberal, Pauillac |
Chateau Lynch-Bages, Pauillac |
Chateau Lynch-Moussas, Pauillac |
Chateau Pedesclaux, Pauillac |
Chateau Pontet-Canet, Pauillac |
Chateau du Tertre, Margaux |
|
|
◆メドックの守護神が手がけるプライヴェート・ワイン◆
ボワスノ親子は1984年以来,シャトー・レ・ヴィミエールというシャトーを所有している。シャトーとはいえ,控えめで手作り感溢れる佇まいで,ブルゴーニュの小さな生産者を彷彿とさせる畑だ。ボワスノ親子は“秘密の庭”と称している。わずか2haの小区画から生まれるマルゴーとオー・メドックには,ボワスノ親子のエスプリが満ちている。1984年が初ヴィンテージ。メドックの伝統に則り,ブドウは1メートル間隔で1ha当り1万株が植えられている。0.46haの超極小区画のマルゴーは樹齢70年の古樹であるため,1株当り4-5房と収量は非常に少ない。以前はリュット・レゾネだったが,4年前からは有機栽培も取り入れている。
画像:自然な風合いのために,樽の栓に自家栽培の藤の葉を使っている→
醸造はステンレス・タンクでアルコール発酵を行った後,マセレーションを行い,圧搾して樽でマロラクティック発酵を行う。近年,議論の的となっている“マセラション・プレ・フェルマンテール=発酵前マセレーション”は,アロマをもたらすと言われている効果が一時的であることから行わない。“ミクロビュラージュ”という水槽ポンプのような仕掛けで空気を注入して酸化を促すことも,自然ではないからと手を出さない。熟成中に樽の木目から入る自然な酸素“ミクロ・オキシジェナション=微量酸化”こそが最適であると考えているのだ。
テクニックはあくまで手段に過ぎず,ワインに複雑性を与えるものはではない。すべては土壌にあり,必要なのは,そこから出来る限りの要素を導き出すセンスなのだ。
とボワスノは言う。
ボルドー以外の地域の土壌や畑にも興味を持ち,様々なワインも積極的に味わうボワスノ。特に北のシラーは糖度と酸のバランスが素晴らしく,このバランスこそが南の地域であるボルドーに必要だと力説する。
バランスとは様々なものが入り混じり,織り成すことで生まれるハーモニーであり,そのエッセンスこそがボワスノのワイン造りのテーマである。畑を見れば,出来上がるワインが想像できるというボワスノ。熱い眼差しは技術屋のものではなく,この地で息づく農家のものだ。
80年代前半に穀物商の建物を改造したシャトー・レ・ヴィミエールの醸造所。
まるでブルゴーニュの小さなドメーヌを彷彿とさせる
|
|