HOME >> 生産者情報 >> シャトー・レ・ヴィミエール (フランス/ボルドー地方)

↓INDEX↓
◆技術の伝道者
醸造コンサルタント◆
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◆エミール・ペイノーの
真の後継者
ジャック・ボワスノ◆
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◆ボワスノ経歴◆
   ・コンサルタント
    >> ボルドー
    >> 海外
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◆メドックの守護神の
プライヴェート・ワイン◆
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◆商品の詳細◆
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Agence Fleurie(2012年10月付)記事
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ジャンシス・ロビンソン
2009年10月31日付
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Sud-Ouest
シュッド・ウエスト
2009年9月5日付
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『Pen 2009年10月号』
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ジャンシス・ロビンソン・ドットコム(2009年10月31日付)



(記事抜粋)
 ジャック・ボワスノ(71),息子エリック(40)は世界で最上級のワインを造る,メドック切ってのワイン醸造コンサルタントであり,この地域の著名な格付ワインの大部分と,すべての1級ワインの責任者である。しかしながら彼らはメディアには露出せず,取材もめったに受けない堅固さで,世界で最も凝縮し完成した赤ワインを造っている。

格付1級のシャトー・ラトゥールのディレクター,フレデリック・アンジェラが,未だ知られざる彼の人柄をこう称賛する:

彼らと10年共に仕事をしてはっきり言えるのは,彼らが尽くせる限りの最高のアッサンブラージュをするためにロットを選別する。その価値観は非常にはっきりしている。
 ボワスノ家は,ジャックの妻が村の教師を勤めるマルゴーとサンジュリアンの間の静かな農業地帯にあるラマルク村のメイン通りにある。簡素な家が仕事場だ。ジロンド河を渡ったポムロールのより著名なワイン・コンサルタント,ミシェル・ロランのように彼らもまた研究所を運営している。常勤2名で,樽,タンク,バレルすべてのブドウ液の分析を行う。

 ジャック・ボワスノは,偶然,ワイン醸造家になった。レバノンに生まれ,第2次世界大戦ではロンドンから爆撃部隊のパイロットとなり,ボルドーに落ち着き,獣医になる初の試みに失敗した。その時,友人がボルドー大学の醸造学コースを勧め,初の仕事がベルジュラック地方の公的研究所の梃入れをすることとなった。1960年代に,彼はポイヤックの公的研究所の立ち上げに招聘され,そこで彼は教鞭を少し執り,コンサルティングを行った。1971年には彼自身の研究所を立ち上げ,大学時代の師である“現代ワイン醸造学の父=偉大なエミール・ペイノー教授”に再会することとなった。既にメドックにクライアントを抱えていたペイノーは,彼の右腕として彼が引退する1990年代までジャックを雇った。これ以上にないトレーニング,申し分の無い名刺となる。

 格付1級シャトー・マルゴーのコリンヌ・メンツェロプーロスはこう語る:
エミール・ペイノーが引退する時に私に言いました。弟子のジャック・ボワスノと働き始めたことは,ごく自然なことだった。ワインのブレンドのプロセスを第三者の視点で見ることは,とても重要な事だと私たちは感じていた。数々のテイスティングをした後で,最後のブレンドはジャックとエリックとともに決めている。今ではジャックのことがよくわかる。そしてジャックの控えめな態度,テロワールへのリスペクトは称賛に値する。そこには“ボワスノ・スタイル”は存在しない。“ペイノー・スタイル”がないように・・・と。(少々語りすぎたかな。)
 エリックの話を彼の雑多な小さなオフィスで聞いていると,彼の感性と人間性のミスマッチを感じた。彼はボルドーのワイン醸造学に十分なほどの適任者だ。14歳のときから父がシャトー・レ・ヴィミエールの名でリリースしているオー・メドックとアペラション・マルゴーのル・トロンケラを,ラマルク近郊にある2ヘクタールの畑で造る手伝いをしてきた。彼らは恐らくそれにかけてはトップであろう。ワイン造りの一流の技術を持ちながら,彼らのワインの品質は,それが造られる土地の限界が訪れるまで永遠に注目される。

エリック:私たちの哲学を説明するのは難しいが, クリュ(畑)を理解することが,すべての始まりである。私は新しい土地を理解するのに2年かかった。まずこの畑には何があるのかを捕らえなければならない。テロワール,その表現,欠点そして長所。それを微妙に操って,最も美しい表現に導かねばならない。私たちは力強さよりもフィネスを強調し続けています。タンニンの品質に注目し,時には土地が低すぎることででてくる欠点を目立たせることさえします。なぜならバランスの取れたワインであるということが,より重要だからです。

 ボワスノ家では、発酵時間に、より重点を置いている。
エリック:まず,ブドウ樹をみて,いつ果実を摘み取るかをディレクター,または管理人と決定する。私たちは多くの話し合いを行い,それからベストな日にちを合意の上で決め,ただブドウ樹の状態や天気予報を考慮するだけでなく,摘果のチームや機材などのことも考慮します。それから発酵直後のすべてのキュヴェ(発酵槽)を試飲します。特に抽出がどのようになされたかや,温度などについて厳密にアドバイスします。

 私は彼に,機械を使った場面があったかを尋ねた。なぜなら,醸造コンサルタントの中にはパソコンを使って,地球の反対側から発酵についてアドバイスする空飛ぶ醸造コンサルタントがいるのを見てきたからだ。
エリック:いいえ。9月から4月はかなり忙しいけれど,私たちはクライアントにいつでも会います。私たちの主な仕事は,試飲すること。いつ新酒が発酵槽からバレルに移されるかなど,戦略上,大変重要である日にちと手順の決定を行います。それが,私たちの重要な役目のひとつです。続いて2次発酵,マロラクティック発酵を監督します。そして12月から2月の終わりまでは,最後のアッサンブラージュの全試飲があります。その後,3月の新酒のシーズンに再チェックを行います。午前8時から夜10時まで試飲する日が何日も続きます。しかし,私はとても楽しみながら遂行しているので,時間はあっという間に経ちます。それぞれの場所に新しいストーリーがあるのです。

 エリックはメモを取りながら,しかし,いかなる時も素晴らしい記憶力で話す。一日中若く荒削りなワインを試飲し,彼が夜にはもうワインを飲みたいとも思わないのではないか・・・と思われた。

エリック:そのとおり。(試飲では)結局は吐き出しています。美味しい食事と共にワインを飲むのが,私の最高の楽しみです。」と,はっきりと語る。

 ボワスノ家がメドックに固執しているように見える(彼らのクライアントはジロンド河を越えたサンテミリオンとポムロールに一握りのみだが,ラマルクの渡し場に近くて便利なのだ)。またそれだけでなく,地元に根付いた謙虚な仕事の姿勢,これはまた,どのように彼らがテイスティングするかということでもある。エリックによれば,彼らは主として一流クライアントのセカンド・ワイン,またはボルドーの地味なヴィンテージをテイスティングしている。私はふざけて,彼に今飲んだ白ワインの状態を聞いた。ごまかすように「まあまあ」と答えた。「う〜ん,私はタンニン(白よりも赤にタンニンはより多く含まれる)は好きだ。まあ,そんなところだと思う。」(彼らはシャトー・ラグランジュ,タルボ,シャス・スプリーン,マルゴー,ムートン・ロートシルトと同様に,白ワインのコンサルティングも行っている。)

「ブルゴーニュのドメーヌのワインに取り替えたら,それは飲みません。」と,彼は自分の短所を笑いながら認める。ボルドー以外にも出張しているのか尋ねると,「アルザスとルーションに研修に行っている」と答えた。

 彼らはコンサルタントを務めるワインのエリアと時間を基準に料金を算出している。 セカンド醸造コンサルタントを雇うことはめったにないレアなケースのようだが,ロデレールはピション・ラランドを購入した際,シャトー・ド・ペズのドゥニ・ドゥブルデューを既に雇っていた。ボワスノ家はドゥブルデューとはピションでともに仕事をしているが,あまり好まないという。「2つの意見が出たら,事が複雑になってしまう。」意見が合わない場合,どうするのかと私は思った。「まず言うべきことは,そこでの仕事には敬意を持っている。私たちは,彼らがおそらく受け入れないであろうアドバイスをします。なぜ彼らのしたいことをクライアントもしたいと思うか,理解しなければなりません。それから,なぜ,私たちが同意しないのかを説明します。しかし,大半の人々は十分に私たちの哲学を理解し,私たちといることで安心します。」

 彼の父のキャリアに比べればかなり短いが,エリック・ボワスノはメドックのワイン造りにおける進化を見てきた。過剰なウッディさ,タンニン,過剰抽出,マロラクティック樽発酵,200%新樽と呼ばれる新樽で熟成を成功させる流行も含めて。

エリック:私たちはいつも過剰なタンニンと過剰抽出のコントロールを行ってきた。今世紀,人々が話題とするのは果実味だ。皆,1つの基準にしばられ,それがストレスになっているが,それはバランスをとる為にはいいことだ。」

彼は身につけてきたワイン造りの多様なテクニックを挙げる。

エリック:逆浸透圧法:マイナスではないが,必要でもない。ミクロ・オキシジェネーション:私は,これはお薦めしない。反対ではない。もし,クライアントが機器を持っていれば,手伝いはする。しかし,私は納得はしていない。特にメドックでは。これはある場所では有効だが,カベルネ・ソーヴィニヨンには素晴らしい結果をもたらさない。人々はより色を付けするために,これを行う。でも,私は彼らがなぜより濃い色を付けたがるのかまるで分からない。」

 彼らにとっての成功の証とは何か,私は彼に尋ねた。価格,評価で計れるものなのか?いや,そのようにはみえない。

エリック:私たちだけが役者ではない。チームワークだ。恐らく,それがなによりも重要なこと。ワインは1人の人間の功績では決してない。私たちはこれまでに多くのドメーヌを見てきた。だからそのドメーヌのことしか知らない人間よりは,より多くのヴィジョンを持っている。それは事実だ。時々,私は私のアドバイスに従わず,たいていの場合,過剰抽出されたワインに出くわす。私はそれに気づいてから購入する。結局は,彼らも学ぶ。自然に反してはならない・・・ということを。

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