・・・農薬や化学肥料のおかげで、昔に比べ、農業の生産性ははるかに向上したと言えよう。産業革命が起こり、工業が躍進したのと同様、農業においても、いわゆる大量生産、インダストリアリゼーションが進んでいる。大量の農薬、大量の化学肥料の使用が、農業における大量生産を可能にしているのだ。あらゆる産業にかかわる資本家は、これによってさらに多くの富を得るだろう。また、農家の懐も潤うだろう。しかし、こんな危険なことを続けていたら、我々農民が近い将来支払わなければならない代償は多大なものになると危惧している。カシーナ・ディ・コルニア設立以来、私はビオロジックにこだわっている。それは人体の健康への配慮ということではなく、当初、それが私にとっては政治的なメッセージを伝えるための手段だったからだ。すなわち、私は農業における産業の介入、大量生産を否定する。従って、大領生産を可能にする化学肥料、化学薬品の使用を一切否定する。もちろん、化学薬品を使用しないことの利点は多くあるが、それ自体、ビオロジックを選んだ私の哲学ではない。私がビオロジックを実践し、成功を収めることで、他の農民も私に追随してくれることを願っている。そして、農民が産業化の呪縛と利益のみを貪欲に追求する資本家たちから解放され、ひいては自然と世界を助けることになれば良いと願ってやまない。私は代々農業を営む家系に生まれた。現在も、これから先も、農業人だ。自分でブドウ畑を耕し、ブドウ樹を大切に育て、天の恵みに感謝し、すばらしいワインを造り続けたい。