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↑ディジョン市内にあるクロ・デ・マルク・ドールの畑↑
パリのモンマルトルの丘にブドウ畑があり、ル・クロ・モンマルトルというワインが造られていることは広く知られた事実だが、ブルゴーニュ地方の中心都市、ディジョン市内にもいくつかのブドウ畑があり、ワインが造られていることを知る人は少ないだろう。
祝祭的な意味で作られるパリのワインとは対照的に、ディジョンのワインは、ワイン通を唸らせるクオリティを誇る本物のワインだ。なぜなら、DRC、ルロワと並ぶカリスマ生産者、ドゥニ・モルテやティエリー・モルテなども畑を所有して、ワインを造っているからだ。
そのディジョン市内にある畑のなかで最上のクリマとみなされているのが、クロ・デ・マルク・ドール/Clos des Marc d'Or。INAOによってAOCブルゴーニュに規定されており、ラベル上へのクリマ表記はもちろん、モノポール(単独所有)表記までもが認められているこの畑は、ワインの聖地ブルゴーニュで6世紀から受け継がれてきたコート・ドール最古のクリマの1つ。
クライヴ・コーツやジャン=フランソワ・バザンといったブルゴーニュ・ワインの愛好家たちも著書のなかで言及するこの畑は、かつてはブルゴーニュ公爵、そしてフランス国王の所有畑だった。また、著名なネゴシアン、フェヴレィがシャルドネとピノ・ノワールのワインを生産していたこともある。それほどブドウ栽培に適したテロワールなのだ。しかし、畑は都市開発によって1967年に消滅。14年の歳月を経た1981年、ディジョン市が土地の所有者となり、0.42ヘクタールの区画にシャルドネを植樹。ブドウ栽培とワイン醸造をマルサネーの著名な造り手、ドゥレイ・フレール/Derey Freresにゆだね、ワイン造りが再開されたのである。
ドメーヌの現当主、ピエール・ドゥレィは、マルサネーでも3本の指に入る若手有望生産者とみなされている。事実、このブルゴーニュ シャルドネ クロ・デ・マルク・ドールは、『アシェット・ワイン・ガイド』にも掲載され、ブルゴーニュ・ワインの専門誌『ブルゴーニュ・オージュルデュイ』が毎年編集する『ブルゴーニュ・ワイン・ガイド』においては、シルヴァン・デュソールやフランソワ・ミクルスキーといったコート・ド・ボーヌの若手一流ドメーヌのシャルドネと同等の評価を受けているのだ。畑の歴史とテロワールの独自性を考えても、ワインに携わる者として絶対に飲んでおきたいブルゴーニュ・ワインである。
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◆ドメーヌの概要◆
↑ クリックすると当主によるドメーヌ紹介動画をご覧いただけます。
ドゥレイ家の葡萄栽培の歴史は数世代前に遡り、1650年、Chenoveシュノーヴ(ディジョンとマルサネーの間にあるコミューン)に創業。ドメーヌ拡大の為、1850年に、現在も本拠を置くCoucheyクシェイ(マルサネーとフィサンの間にあるコミューンでマルサネーの栽培区域に指定されている)に移る。ドメーヌの創始者はClaude DEREYクロード・ドゥレイ。以来4世代に亘って代々葡萄栽培が受け継がれ、戦後、AlbertアルベールとMauriceモーリスの兄弟が所有畑を4倍に拡張。
現在、ドメーヌはディジョン、マルサネー、フィサン、ジュヴレィ・シャンベルタンに21ヘクタールの畑を所有して葡萄栽培を行っている。1988年から6代目当主を務めるPierre DEREYピエール・ドゥレイは、経理を担当するドイツ出身の妻Suzanneシュザンヌと、7代目となる3人の息子たちと共にドメーヌを運営。長男マキシムはオーストラリアのビオディナミ生産者の元で半年間修行をした後ドメーヌに参画。栽培と醸造を担当。次男ロマンはドイツやストラスブールのチーズなどの食品メーカーにて営業を勤めた後2017年にドメーヌに参画し、営業を担当。三男ピエール=マリーはボーヌの醸造学校を卒業後、2020年にドメーヌに加わり、栽培、醸造のほか営業とボトルのパッケージングにも携わる。
生産量に占める輸出の割合は15%。輸出先国は日本、アメリカ、カナダ、デンマーク、ベルギー、イタリア、チェコにおよぶ。今後は香港、タイ、ノルウェーやフィンランドにも進出を計画している。ドメーヌはHVE(=Haute Valeur Environnementale:環境価値重視)認証を申請中。
アシェット・ワイン・ガイドに毎年のように掲載され、ブルゴーニュ・オージュルデュイ誌でもニュイの若手の注目株と見なされているドメーヌ・ドゥレイは、抽出に重きを置くモダンな造りを信条としており、色調が濃く、凝縮していて、ビロードのように滑らかで肉付きが良いワインを造ることで定評がある。
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◆赤ワインの醸造について◆
収穫は手摘み。醸造所に持ち込まれたブドウは選果台で厳格に選別され、良質のブドウのみが使われる。100%除梗した後、4-6日間の低温(約7-9度)マセレーションを実施。その後、自然酵母のみで自然に発酵を開始させる。発酵初期は1日2回のピジャージュとルモンタージュを行うが、発酵が落ち着いた段階ではピジャージュもルモンタージュも1日1回にとどめる。その後はピジャージュは実施せず、ルモンタージュのみ行う。色素の安定、丸みとエレガントさの付与のため、発酵の最終段階においては温度を常に30度以上に留める。発酵終了後、圧搾を行い、フリーラン・ワインとプルミエール・プレスのみを樽に移してシュール・リーの状態で熟成させる。澱引きはマロラクティック発酵終了後に行い、アッサンブラージュは瓶詰めの1ヶ月前から数週間前に行う。
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◆各キュヴェの詳細◆
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Marsannay Les Champs Perdrix AOC, Rouge
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Fixin Les Clos AOC, Rouge
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Gevrey-Chambertin AOC, Rouge
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Bourgogne Pinot Noir Montre Cul AOC, Rouge
/ブルゴーニュ ピノ・ノワール モントル・キュ 赤
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Bourgogne Cote d'Or AOC, Rouge
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Bourgogne Clos des Marcs d'Or AOC, Blanc
/ブルゴーニュ シャルドネ クロ・デ・マルク・ドール 白
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Bourgogne Aligote Vieilles Vignes AOC, Blanc
/ブルゴーニュ アリゴテ ヴィエイユ・ヴィーニュ 白
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