スペイン人に愛されるシェリーの定番と言えば「フィノ・ティオ・マテオ」。
この意外な事実はスーパーマーケットの売り場を覗けば納得できる。スペイン市場で売上トップのスーパーチェーン、カルフールやアルカンポにおけるフィノのシェアは、ゴンザレス社のティオペペと互角で30%。他のスーパーチェーンでもほぼ互角のシェアだ。大手では唯一のスペイン資本のスーパー、メルカドーナ(業界2位)に至っては他社を寄せ付けない100%シェアを誇っている。
輸出重視ではないため世界的なブランドではないが、スペイン人にとって「ティオ・マテオ」はフィノの代名詞として親しまれているのだ。そして、レストランはそれ以上。カサ・ルチオやジョッキー、ラ・モンタネラ、トボソ、オリザ、ルーフォ、ラ・ボンビ等で扱われているブランドである。
|
|
マルケス・デル・レアル・テソーロという名称はチャールズ3世の時代(1760年)、海軍中尉であったD. Joaquin de Villena が王家の財宝を守る侯爵=Marquis of the Royal Treasureの称号を与えられたことに由来する。航海の途中、海賊に襲われた際にその財宝を守り抜いたことがたたえられて贈られた称号である。そして2世代後、その名はアルフォンソ8世の孫であるマルケス1世に受け継がれ、1879年にはマルケス・デル・レアル・テソーロをブランド名とした会社が設立された。以来、著名な貴族ヴィラクレセスより、2世紀に亘り熟成されたシェリーのストックを引き継いでいる。現在、レアル・テソーロはスペイン最古のシェリー・ハウスの1つであるバルデスピノ社も傘下に入れるグルーポ・エステベスの一員となり、最新技術を用いた様々な取り組みを行っている。
|
|
レアル・テソーロの哲学は、古い伝統を尊重しつつ最新技術を駆使したワイン造りを行うこと。例えば、ワインを熟成する際、ゲノム音楽を聞かせるなど、革命的なワイン造りに取り組んでいる。特に注目したいのは、低いヒスタミンレベルを持つ唯一のシェリー、フィノ・ティオ・マテオ。ヒスタミンとは、お酒や食物に含まれる科学物質で、過剰摂取すると頭痛を引き起こす恐れのあるもので、フィノ・ティオ・マテオはワイン分野の平均値の100分の1以下のヒスタミン量しか含んでいない。それ故、シェリーを愛するスペイン人が好んで飲むブランドとなったのだ。
シェリーは白葡萄のみで造られる。辛口を造るときにはパロミノ種、極甘口を造るときにはペドロ・ヒメネス種かモスカテル種のどちらかが使われる。醸造方法は、基本となる辛口のワインの場合、パロミノ種を使い、普通の白ワインと同じように、まずアルコール発酵が行なわれる。続いてソブレタブラという樽に移され、ワインは600リットルの樽に500リットルほど注がれ、ブランデーを添加された後、空気に触れた状態で2週間から3年に亘る熟成の過程に入る。
|
|
グルーポ・エステベスはシェリーの中心、ヘレス・デ・ラ・フロンテラで最も標高の高い場所(標高60m)に合計550ヘクタールの畑を所有している。畑は全て南向きで平均樹齢は25年。マルチャヌドMarchanudo、ビルバイナBilbaina、アニアAniaと呼ばれる最高区画と名高い畑でパロミノ・フィノとペドロ・ヒメネスを栽培している。この区画が最高と呼ばれる理由は、平坦で標高が比較的低いヘレス・デ・ラ・フロンテラにおいて、最も高台にあることによりミクロクリマの影響を他のどこよりも強く受けることにある。夏の強烈な乾燥からブドウ樹を守る湿気を含んだ大西洋からの風が吹き込み、年間290日もの晴天を数える豊富な日照をいっぱいに浴びる。ヘレスに存在するヴィンヤードの中で最高と呼ぶに相応しいコンディションを具えている。この550ヘクタールの畑から、レアル・テソーロ、バルデスピノ、そしてラ・ヒタのシェリーが造られる。平均植樹率は1ヘクタール当たり3600本で、整枝法は半分以上がコルドン、残りがブッシュである。ヘレスのペドロ・ヒメネスは近隣のモンティーリャ・モリレス産の果実を用いたものが多いが、グルーポ・エステベスの3つのブランドは全て自社畑で栽培された果実を使用している。
|
|
ローラ・フローレスはヘレス・デ・ラ・フロンテラ出身の偉大なフラメンコ・ダンサーで歌手、女優でもあった人物。スペイン人のみならず、南米や世界各国の人々に愛された、スペインを代表するアーティストである。ジプシーとしての背景を持ち、貧困に喘ぎながらもフラメンコへの情熱を捨てなかったローラの一生は映画化までされている。彼女がリリースしたレコードは50を数え、数本の映画に主演。アンダルシア美人の伝説的ダンサーとして語り継がれている。彼女はまた、2005年から2006年にバレンシアCFの監督を務めたキケ・サンチェス・フローレスの伯母として知られている。
グルーポ・エステベスの創設者、ホセ・エステベスはローラ・フローレスの親しい友人で、彼女が死去した1995年にはティオ・マテオのワイナリーでスペイン政府関係者や文化人を集め、葬儀を行ったという。そして1999年6月5日、ローラの夫であるギタリストのアントニオ・ゴンザレスと彼女の姉妹がワイナリーを訪れ、ローラの銅像の除幕式を行った。これによりティオ・マテオは「La Bodega de Lola」=ローラ・フローレスのワイナリーと呼ばれるようになり、スペイン国内は勿論、世界30カ国以上で知られるブランドとなった。
|
|
ソレラ・システム(エル・システマ・デ・クリアデラ・イ・ソレラ)は、シェリー独特の熟成方法。まず、熟成された樽のシェリーを出荷や瓶詰めのときに、全部は抜き取らず少なくとも2/3は残しておく。そして抜いた分と同量の熟成途上のシェリーを注ぎ足す。こうして新たに注ぎ足された樽のシェリーが再び出荷できるようになるまで熟成をさせることで、常にその個性や持ち味を保つようになる。これがソレラ・システム。
|
|
|
シェリー Sherry
|
|
Manzanilla la Bailaora DO Jerez
/マンサニージャ ラ・バイラオーラ 15%(DO ヘレス) 白 NV
|
|
Fino Tio Mateo DO Jerez
/フィノ ティオ・マテオ 15%(DO ヘレス) 白 NV
|
|
Amontillado del Principe DO Jerez
/アモンティリャード デル・プリンシペ 18.5%(DO ヘレス) NV
|
|
Oloroso Almirante DO Jerez
/オロロソ アルミランテ 18.5%(DO ヘレス) NV
==>> 詳細はこちら
|
|
Royal Cream DO Jerez
/クリーム ラ・キャピターナ 17.5%(DO ヘレス) NV
|
|
Pedro Ximenez DO Jerez
/ペドロ・ヒメネス 17%(DO ヘレス) NV
==>> 詳細はこちら
|
|
Cava Castell del Real Tesoro Brut DO Cava *参考品
/カバ カステル・デル・レアル・テソーロ ブリュット(DO カバ) NV
==>> 詳細はこちら
|
|