HOME >> 生産者情報 >> ラファエル・パラシオス(スペイン/バルデオラス) 


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スペイン最高の
白ワイン誕生の軌跡
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◆スペイン最高の白ワイン誕生の軌跡◆

 『ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス』が「スペイン・ワインの黄金時代」という特集記事のなかで、ラファエル・パラシオスのアス・ソルテスを、「ピングス、ベガ・シシリア、テルマンシア、ビーニャ・エル・ビソン、アウルス、アアルト、シルシオンなどとともに、偉大なスペイン・ワイン」として取り上げ、また、『ワイン・アドヴォケイト』のスペイン担当テイスターであるルイス・グティエレスが、ソルテ・オ・ソロ 2014年物を「近代スペイン・ワイン史上最高の白ワインの1つ」と表現し、2020年物には100点を付け「この世のものとは思えない、現実離れした素晴らしさ」と絶賛したことにより、今や、ラファエル・パラシオスが手がけるゴデーリョによる白ワインは、スペイン最高の白ワインのお墨付きを得ている。

 フランスでワイン醸造を学んだ後、オーストラリアに渡ったラファエルは、そこで白ワイン造りに開眼。スペインに帰国後、一時は兄のアルバロとともにリオハのパラシオス・レモンドで働いていたが、何かにつけ比較される兄とは違う道を歩むことを決断。2004年、Valdeorras バルデオラスにブドウ畑を購入し、スペイン最高の白ワインを造る夢への挑戦を始めた。

 スペイン北西部のGalicia ガリシア地方にあるバルデオラス(右の地図をクリックすると拡大図をご覧いただけます)は高い山脈に囲まれ、Sil シル川流域の渓谷にあるため、大陸性気候の影響を多分に受ける。すなわち、冬は厳寒で降雨量が多く、夏は高温である。このように、ブドウが成熟するための自然条件を備えているにもかかわらず、山岳地帯という地形や、1軒あたりの農家が所有する畑の面積が非常に小さいため、今までは自家消費用として少量生産しか行われず、地元以外では産地名を知られることがなかったマイナーなDOだ。また、多くの農家が標高の低い場所や渓谷の下にブドウ畑を所有している。しかし、ラファエルは標高600メートル以上で、白ワインにとって最高とされる花崗岩土壌の南向きの斜面にある段々畑を選んで購入。高樹齢のGodello ゴデーリョ種のブドウ樹からラファエルが造る白ワインは衝撃の一言に尽きる。

 たとえば、スタンダード・キュヴェのロウロは『Wine Spectator ワイン・スペクテーター』恒例のTHE TOP 100 OF 2019で92位にランク・イン。フラッグシップのAs Sortes アス・ソルテスは、『Guia PENIN ペニン・ガイド』において初リリースの2005年物から20017年物に至るまで93点越えを記録(2013年物を除く)、『Vinous ヴィノス』、『ワイン・アドヴォケイト(=WA)』でも軒並み90点以上を獲得している。また、2019年夏には、Sorte O Soro ソルテ・オー・ソロの2016年物が、『ギア・ペニン 2020年版』向けのテイスティングにおいて99点を獲得、しかも12,000本のなかから「スペイン最高のワイン6本の1本」に選ばれた。そしてソルテ・オー・ソロ2020年物は、ワイン・アドヴォケイトで、初の100点満点を叩き出した!ワイン・アドヴォケイトのスペイン担当テイスターであるルイス・グティエレスは「近代スペイン・ワイン史上最高の白ワイン」と絶賛。
スペインの白ワインに対するイメージを根底から覆す「衝撃の味わい」はさらに進化を遂げている。

◆スペイン最良の白ワイン産地、バルデオラス◆

 バルデオラスのワイン産地としての復活には古くからある畑を再構築することと、ブドウ栽培と醸造技術を近代化させることが不可欠であった。Orense オウレンセ地方の南西に位置するバルデオラスはガリシアへの入口である。シル川を望む深く肥沃な谷からなり、花崗岩と粘板岩の魅惑的な地勢に、主役のブドウ、クルミ、そしてオリーヴの木々が生い茂る。

 東から西に伸びるVia Nova ビア・ノバと呼ばれるローマ時代の道が貫くバルデオラスは、ローマ帝国が金を求めて訪れた地であり、その通り道でもあった。この特有の地中海と大西洋気候が入り混じるバルデオラスの地にブドウを持ち込んだものもローマ人だ。ローマ時代が終わってから10世紀まで、この地でのブドウ栽培の痕跡はない。

 10世紀頃になるとブドウ樹に関する記述を見ることができ、それらの一部の樹は今も生きている。19世紀になるとフィロキセラの被害を受け、大部分のブドウ樹が倒れてしまった。これにより農家はフィロキセラに強いアメリカの台木を用いることを余儀なくされた。しかし台木の導入により収量は増えたが、果実味に溢れたバルデオラス・ワインの特質が奪われる結果となった。この状況は高品質、競争力、利益のあるワインを造るために地場品種を復活、補強、活用することを目的とした畑の再構築計画の始まりである1976年まで続いた。伝統と近代テクノロジーの両方に力を入れたDO バルデオラス統制委員会は、ゴデーリョやメンシアといった地場品種をゆっくりと時間をかけて回復し、洗練された舌を持つ世界的に有名な人々をも満足させる、バルデオラスの地に基づいた最高品質のワインを造り上げることに成功している。

 DO バルデオラスの栽培地域はRubia ルビア、Carballeda de Valdeorras カルバリェダ・デ・バルデオラス、O Borco de Valdeorras オ・ボルコ・デ・バルデオラス、Vilamartin de Valdeorras ビラマルティン・デ・バルデオラス、A Rua de Valdeorras ア・ルア・デ・バルデオラス、Petin ペティン、Lauroco ラロウコ、そしてO Bolo オ・ボロ地区に存在する。これはシル、Xares サレス、Bibei ビベイ川流域をすべて覆うもので、45のボデガが所有する畑の総面積は1,341ヘクタールを数える。気候はガリシアの他の地域より乾燥しており、大西洋からの影響と大陸性気候がバルデオラスを特別な産地にしている。平均気温は11度(最高気温33度、最低気温-8度)で、平均降水量は850-1,000ミリメートル。日照時間は長いが降水量が多い。また、土壌は様々である。最も顕著なのは基層が粘板岩で表土が浅く、石を多分に含む石灰岩土壌。次に基層が花崗岩で表土が深く、砂の多い土地、そして巨石の目立つ堆積物によるテラス式の土壌。

 品種は白ワイン用としてゴデーリョが最も適しているが、Dona Blanca ドニャ・ブランカとPalomino パロミノも植樹されている。赤ワインには最近注目を集めているメンシアを筆頭に、Merenzao メレンサオ、Alicante アリカンテ、Grao Negro グラオ・ネグロ、Tempranillo テンプラニーリョ、Blancellao ブランセリャオ、Souson ソウソンが栽培されている。しかし根本的には、バルデオラスでは2つの単一品種のワインが造られていると考えてよい。最も象徴的なものはゴデーリョの白ワイン。リンゴ、桃、グレープフルーツ、バナナの洗練された果実のアロマを持ち、黄、黄金、あるいは麦わらの色調を備えている。ワインはしっかりとした骨格で力強く、味わい深い。また、美味でバランスも良く、アルコール度数の平均は12.5%である。

ゴデーリョ  DO バルデオラス統制委員会が行った最近の調査によると、近年のワイン販売量は350万リットルほど。そのうち輸出は121,160リットルで全体の3.46%。最も多く輸出されたワインはゴデーリョ単一のワインで、総輸出量の10%を占める。スウェーデンやドイツ、イギリスがEUのなかの主な輸出国で、アメリカへの輸出額は著名なワイン評論家の高評価が手伝って著しく伸びている。←画像:ゴデーリョの果実

 総括すると、バルデオラスのテロワールの真髄となる厳選された質のワインを市場に送り出すため、生産者は伝統と近代技術を駆使し、一生懸命努力している。だからこそ今、積み重なる調査の日々と栽培、そして醸造にかかわる新しい技術の導入により、バルデオラスのワインはようやくふさわしい評価が与えられるようになった。

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