自然の力を尊重したビオロジックとビオディナミに則りブドウを栽培する。
醸造はなるべく手を掛けず,可能な限りシンプルに。
暑さ寒さにあえぎながら自由を与えられたブドウは
テロワールを表現した,グルメで洗練されたワインを生む。
1850年に設立されたシャトー・レ・グラーヴ・ド・ヴィオーは、最も著名なボルドー・ワイン事典『フェレFeret』で1875年よりその名が引用されるシャトー。1945〜93年まではプニャックPugnacのコーペラティヴにブドウを卸していたが、1994年にカーヴを増設、ワインの元詰めを始める。2010年にはIT業界から離れヴィニュロンへ転身したフィリップ・ベッツシャルトPhilippe Betschartがシャトーを購入。ビオロジック栽培に転換し、ビオディナミックの道を歩み始めた。“ネオ・ヴィニュロン”を自称するフィリップのワインには、シャトーに引き継がれる伝統的スタイルに、彼独自のスタイルが上手く融合されている。味わいもさることながら、ボトルプレゼンテーションからして強い個性がにじみ出ている。ラベルに娘と息子のシルエットを描いた、フランス語で“末っ子”を意味する
<レ・カデ>
。
ボルドーのワインはラベルに品種名を表示できないことから、メルローとかけた
<メール・ロー>
。
また、オフ・ヴィンテージといわれる2013に“それがどうした(Et Alorsエ・アロー)!”と、世論を一蹴する意気込みをこめた
<13(トレーズ)・エ・アロー!>
。
ボルドーの新風として、ソムリエも注目するフィリップのワインは、パリの自然派カーヴ、ワインバー、ボルドーのミシュラン星付きレストランでもオンリストされている。
◆ドメーヌ・データ◆
場所: コート・ド・ブール
面積: 11.5ha(植樹比率:メルロー75%,カベルネ・ソーヴィニョン18%,カベルネ・フラン7%)
テロワール: ブドウ園はコート・ド・ブールの中心,プニャックの高緯に位置し,丘の南向きの砂利,粘土質,珪素質土壌。
平均樹齢: 27年,半分以上は35年。
醸造コンサルタント:
アンヌ・カルデローニAnne Calderoni:
クロ・ピュイ・アルノーClos Puy Arnaud,シャトー・ラ・マルゼルChateau La Marzelle,シャトー・モントゥッサンChateau Montussanなどを手がけ,ビオディナミに関して非常に深い知識を持つ。
当主:
Philippe Betschart フィリップ・ベッツシャルトが2010年にシャトーを購入、家族経営。
15年間パリでITエンジニアとして勤めた後,パリを離れて母の故郷ボルドーに移住し,ヴィニュロンに転身。ボーヌの国立農業・醸造職業学校(CFPPA)修了。地理学,環境学についても学び,ロワールのビオディナミ生産者ドメーヌ・ド・サン・ニコラ(AOCフィエフ・ヴァンデアン)で研鑽を積んだ。またカスティヨンの鬼才と呼ばれるボルドー・ビオディナミの頂点に君臨するクロ・ピュイ・アルノーClos Puy Arnaudとも親交が深く,両者との出会いが後にビオディナミに転向するきっかけとなった。
流通先:
ル・ルージュ・エ・ル・ヴェールle Rouge et le verreなどのビオワインを扱うカーヴ,パリの流行りのワインバー,ボルドーのミシュラン星付ル・プランス・ノワールLe Prince Noir (1ッ星★),ヴィヴィアン・デュランVivien Durand (1ッ星★),ロンドンのミシュラン星付シェ・ブルース (1ッ星★),アメリカ,イギリス,スイス,ベルギー,ノルウェー,デンマーク,ドイツ,オーストラリア,韓国,日本,香港,北京など。
◆栽培について◆
2010年にはテロワールの真髄を引き出すために,ビオロジック,ビオディナミ農法を実施。AB(アグリキュルチュール・ビオロジック),デメテール認証,eveヴィーガン認証取得。堆肥はビオディナミのプレパレーションに植物主体のコンポストを使用。畝と畝の間の除草は機械で行い,畝の除草は手作業で行う。剪定の段階で1株に約10房が残るようにし,グリーン・ハーヴェストは行わない。シャトー・カルボニューChateau Carbonnieuxで研鑽を積み,ロワールでビオロジック農法によるワインを造っていたフィリップ・エンキネPhilippe Henquinetを栽培と醸造に迎えている。
ビオディナミ プレパレーション(調合物)500番
雌牛の糞を雌牛の角に入れ,8〜10ヶ月間,土に埋める。春に取り出し,土に散布する前に水の中で時計回り,逆回り方向にそれぞれ円を描くように,渦巻きをつくりながら撹拌する(写真下・中央)。そして天体の動きにあった日に地に散布する。牛糞の使用量は1ヘクタールあたり250g。取り出した牛の角は最長10年は再利用する。
ビオディナミ マリアトゥーン樽堆肥(写真下・左)
農事暦(バイオダイナミック・カレンダー)を提唱したマリア・トゥーン女史の考案した堆肥。地中のバクテリアの活動を活発化させる効果がある。
◆醸造について◆
大部分は手摘みで収穫。野生酵母のみで発酵。無濾過,無清澄,なるべく手を掛けず,可能な限りシンプルに。全てのワインが,ワイン醸造用製品や添加物を使用せず,唯一保存料として亜硫酸を微量加えるのみ(0〜50mg/L)の自然な方法で醸造している。ポンプを使わず,重力によってルモンタージュを行う。可能な限りブドウに負荷がかからぬよう丁寧に行う。アメリカ製9.3hl容量のタンクと,500Lオーストリアまたはブルゴーニュ製樽(焼きはライト)。
◆ヴィーガンワインについて◆
動物起源(肉,魚,卵,乳製品,蜂蜜など任意)の製品を可能な限り排除し,動物を尊重したライフスタイルを採用する人=ヴィーガンVeganが世界規模で増加している。それと共に,ブドウを原料とする100%植物由来のワインにおいても,清澄剤に動物性たんぱく質由来のゼラチンや卵白が使用されることがあるため,それらを排除したヴィーガン対応ワインへのニーズも高まりをみせている。シャトー・レ・グラーヴ・ド・ヴィオーは,2018年にeveヴィーガンの認証を取得。
※eveヴィーガン
(Expertise Vegane Europe/ヨーロッパ・ヴィーガン鑑定)
ヴィーガン・フランスVegan France協会の活動家によって創設された,フランスの認証機関。食品,アルコール,化粧品,織物など,あらゆる種類の製品を対象とし,ヴィーガンの審査基準を満たす製品に認証が適用される。
VIDEO
◆各キュヴェの詳細◆
Les Cadets AOC Cotes de Bourg, Rouge
/レ・カデ(コート・ド・ブール) 赤 2019==>>
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Mere l'O AOC Cotes de Bourg, Rouge
/メール・ロー(コート・ド・ブール) 赤 2018==>>
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Prestige AOC Cotes de Bourg, Rouge
/オリジン(コート・ド・ブール) 赤 2016
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Terroir AOC Cotes de Bourg, Rouge
/テロワール(コート・ド・ブール) 赤 2015==>>
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Cuvee O AOC Cotes de Bourg, Rouge
/キュヴェ・オー(コート・ド・ブール) 赤 2015==>>
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La Colombine AOC Bordeaux, Blanc
/ラ・コロンビーヌ(ボルドー) 白 2019==>>
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