誰の心にも存在する故郷。瞼を閉じれば浮かぶ美しい日本と美しいふるさとの風景・・・。そんな郷愁を誘うとてもチャーミングなワインがあります。
それが,フランスのシャンパーニュとアルザス地方の間にあるロレーヌ地方のアペラション“コート・ド・トゥール”のワインです。蔵元は,ドメーヌ・ルリエーヴル Domaine Lelievre。19世紀後半,エミール・ガレに代表されるアール・ヌーヴォーのガラス工芸の中心地となったナンシーの西方25キロのところにあるリュセの町で4世代続く蔵元です。ボルドー,ブルゴーニュ,スペイン,オーストラリア,カリフォルニアなどで10年にわたり研鑽を積んだヴァンサン,そしてダヴィッドの2人の兄弟が2008年にドメーヌを継承,瑞々しい感性で新時代のワインを造っています。フランス語で野うさぎのことを“ルリエーヴル Lelievre”と呼ぶため,家族の苗字“ルリエーヴル”にかけてチャーミングなうさぎのデザインをラベルに採用しています。ラベルのデザインは,ダヴィッドの妻でインテリア・デザイナーのソニアが手がけたもの。初ヴィンテージの2009年物のワインが『アシェット 2011年版』でいきなり2つ星と《ク・ド・クール=最も心に残るワイン》に選出。さらに,2012年版でも別のキュヴェがク・ド・クールを獲得し,2年連続でク・ド・クールを獲得するという栄誉に浴しました。また,2012年夏には“レ・トロフェ・ド・ランスタラション=厚生省などの協賛で農業専門のプレス・グループ ATCが主催するコンクール”において,ワイン生産業228のなか,ルリエーヴルが12のベスト・ファイナリストに選ばれ,地元ロレーヌの雑誌や新聞などでも大きく取り上げられており,今,ロレーヌ地方で最も注目を集めている新進気鋭の造り手です。ぜひ,かわいいうさぎのラベルと一緒に癒されて下さい。
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ドメーヌ・ルリエーヴルは1930年に創設。1968年に3代目のアンドレ Andreと2人の兄弟ジャン=マリー Jean-Marieとロラン Rolandがワインの元詰めを開始。その後,醸造設備や畑の拡張などを行い,ドメーヌの規模を拡大していった。その後,ジャン=マリーがブルゴーニュに移住,また,アンドレが引退したため,ボルドーや海外で研鑽を積んだロランの息子のヴァンサンとダヴィッドの2人の兄弟が2008年にドメーヌを継承し,今に至る。
兄のダヴィッドは1979年生まれ。ボルドーで2年,ドイツで4年,シャトー・シュヴァル・ブランやシャトー・ディケムを所有するジャック&フランソワ・リュルトン・グループのセールス部門で働き,バルセロナの高級ワインのインポーターではマーケティング部門を担当していた経歴を持ち,現在,ドメーヌでは販売と総務を担当している。一方,弟のヴァンサン(1980年生まれ)はアヴィーズとボルドーで醸造学を修めた後,ボルドー,ブルゴーニュ,ドイツ,オーストラリア,ナパ・ヴァレーなどで10年以上の研鑽を積んだ。ロレーヌ地方のワインの質の高さを確信したヴァンサンは,栽培と醸造に携わっている。
ドメーヌの栽培面積は23ヘクタール弱。19ヘクタールでブドウを栽培し,4.5ヘクタールでロレーヌ名産のミラベル(黄色のプラム)を栽培している。ブドウの栽培品種は,ピノ・ノワール,ガメィ,オーセロワ。ダヴィッドとヴァンサンがドメーヌに参画した後の2009年には,粘土石灰土壌に会うSO4とGravesacを台木として選び,さらに,ピノ・ノワール,ガメィ,ピノ・グリ(テスト段階)を植樹した。20ヘクタール弱の畑はリュセィのコミューンの南から南東向きの丘の斜面に位置している。リュセィの土壌は水はけの良いジュラ紀の粘土石灰質で,ミネラルと化石を豊富に含み,古くからブドウ栽培に適った土壌として知られていた。事実,フランス革命以前はトゥール地区の司教が個人的に所有し,ブドウが栽培されていた。その証拠に,現在でもヴィーニュ・レヴェック=司教のブドウ畑など,司教に由来する名前のリュー・ディが数多く残されている。ドメーヌではトゥールのブドウ栽培の文化を保護してきた司教へのオマージュとして,高級レンジのキュヴェ“レ・ゼヴェック(大司教)”のピノ・ノワールとヴァン・グリのキュヴェをリリースしている。今後10年でドメーヌは畑を2倍に拡大するプロジェクトを進めており,2013年にはリュセィから20キロほど南下したビュリニィ Bulignyに3ヘクタールの畑を購入,植樹を開始した。
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コート・ド・トゥール Cotes de Toulは,フランスのシャンパーニュとアルザス地方の間のロレーヌ地方のアペラション。1998年にAOCに昇格。栽培地はトゥール Toulの町の西に位置し,南北の川の流れに沿っておよそ20キロにわたって8つの集落上に連なっている。気候は大陸性気候で,夏は蒸し暑く,冬は乾燥して寒い。しかし,ブドウ畑のある丘陵はモーゼル河に張り出した東から南向きの斜面に位置し,また西に広がるムーズ丘陵が雨をもたらす西からの卓越風を遮り,この地区全体を守っているため,新芽の開花の際に遅霜がブドウ樹に悪影響を及ぼしたり,夏に激しい夕立が起こることも少なく,収穫の良し悪しを決定づける秋にはたいてい晴天に恵まれる。
(左から)ヴァンサン,ロラン,ダヴィッド
2010年10月には同じロレーヌ地方の北部の産地モーゼルがAOCに昇格した。2011年がAOCとして初めてのヴィンテージとなる。コート・ド・トゥール地区の白ワインはオーセロワが主体だが,モーゼル地区になるとドイツやアルザスのように,ミュラー=トゥルガウ,ゲヴュルツトラミネール,リースリングなどの白ワインも造られている。
モーゼル河はフランス東北部のヴォージュ山脈に源を発し,ロレーヌ地方のナンシー,メスを通って北へ流れ,ルクセンブルクで北東に転じ,ドイツ国境を流れたのち,ドイツのラインラント=プファルツ州を横切り,コブレンツでライン河に合流する。このため,フランスにもモーゼルを名乗るワイン産地と県が存在する。
現在,モーゼルとコート・ド・トゥールの生産者は,この2つの産地で造られるスパークリング・ワインがAOC クレマン・ド・ロレーヌを名乗ることができるように尽力している。
右の地図の黄色い箇所がコート・ド・トゥール,薄い赤の箇所がモーゼルの栽培地。中央を南から北に流れるのがモーゼル河。
※左の地図をクリックすると拡大図をご覧いただけます。※
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コート・ド・トゥールにおけるブドウ栽培は,ローマ人がモーゼル河に沿って植樹を行い,トゥール司教とロレーヌ公の強い影響を受けて拡大した。とりわけ著名なのは,ポーランド王スタニスラス・レシチニスキ(ロレーヌ公在位:1737-1766年)で,かれは勢力的にヨーロッパにおける威厳を示した。革命により民営化されたブドウ園は,ブドウ栽培家とネゴシアン兼醸造家が役割を分担しながら,シャンパーニュ地方と現在のロレーヌ市場に向け,流通の拡大を図った。1860年にはロレーヌは50,000ヘクタールのブドウ畑を有し,うち38,000ヘクタールがムルト Meurthe県(州都ナンシー)に広がり,絶頂期を迎えた。しかしながら,1870年から下降の一途をたどることになる。
同時期に,北ヨーロッパにフィロキセラが蔓延,また,1870年,1914年,そして1939年に相次いで独仏戦争が勃発した。フランス北部では鉱業が発展し,ヨーロッパ各地から英知が集結,そのなかにはコート・ド・トゥールのブドウ栽培家も含まれていた。さらに鉄道が敷かれると,南仏の太陽を浴びたワインが届くようになった。
1951年,コート・ド・トゥールのブドウ畑は,リュセィの議員で市長を務めたアンドレ・ピクォ Andre Piquotが連れて来た一握りのブドウ栽培家の働きにより,消滅を免れた。ピクォは仲間とともに30ヘクタールのブドウ畑を保護し,VDQS(Vins delimites de qualite superieur=優良品質限定ワイン)の制定を受けた。また,“輝かしい30年”と呼ばれるフランス高度成長期(1945-75年)にはコート・ド・トゥールの産物のマーケットを確立し,ブドウ樹を植替え,黒すぐりやカシスなどの果実栽培が行われるようになった。1980年代にはネゴシアンのコルディエがトゥールを離れ,メドックのグラン・クリュ・クラッセのシャトー・タルボを買収した。ブドウ栽培家自ら醸造を行うようになり,品質が向上,1998年にAOC コート・ド・トゥールが誕生した。
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ドメーヌでは40年以上前からリュット・レゾネでブドウ栽培を行っている。バイオダイナミックは実践していないが,現在,醸造所での仕事は,すべて月の満ち欠けのリズムに従って行われている。月の満ち欠けが熟成中のワインに及ぼす影響は非常に重要だと考えており,特に澱引き,濾過,瓶詰めなどの作業は全て月齢カレンダーに応じて行われている。ブドウ栽培においても,農事暦(バイオダイナミック・カレンダー)に関心を持っており,2011年の春から農事暦の4つの日(実の日,花の日,根の日,葉の日)に基づいて農作業を行っている。しかし,有機栽培やバイオダイナミックの認証を受けるつもりはない。というのは認証を受けるには,厳格な適用が要求され,ブドウ栽培の自由が失われてしまうため。しかし,ドメーヌ・ルロワなどの一流ドメーヌは,バイオダイナミック農法から素晴らしいワインを造り上げることに成功しており,ドメーヌ・ルリエーヴルでもバイオダイナミックの適切な実践によって,ワインの質を高めることができると考えている。
除草剤は全く使わず,畑を耕耘して雑草を取り除いているが,ブドウ畑が急勾配であるため,畑のすべてを耕耘することは,豪雨などによって表土が侵食される危険性が高い。このため,耕耘を行い除草するのは1畝おきにして,1畝おきに草を生やして表土を維持し,ブドウ樹が草と競争するように誘引して,ワインのアロマにとって有益となる水のストレスがブドウにかかるようにしている。耕耘と除草は平均して年3回行っている。まず,春に有機性の堆肥を施して,地中の微生物の活動を活性化させた後,すべての畝の間を耕耘し,1畝ごとに除葉を行う。夏の7-9月の時期にも一度,畝間の雑草の刈り込みを実施。さらに,秋の収穫の直後に畝間を耕耘する。
収量制限はワインの品質にとって決定的な要素と考えており,剪定の段階から制限を始める。ドメーヌでは1月から剪定が始まるが,ブドウ樹はすべてシングル・ギヨ(芽を10個残した長枝1本と芽を2つのこした短枝1本)に仕立てられる。ブドウの生育期である4-9月にかけては,特に芽かきの作業に留意をしている。なぜなら,芽かきの段階で収穫時の房の数を予測することができ,もしも失敗した場合には,グリーン・ハーヴェストで調整することができるため。これに加え,摘芯や除葉などの作業で収量制限を補完している。除葉を行うのは,ガメィとピノ・ノワールのみ。オーセロワには行わない。これはオーセロワがガメィやピノ・ノワールのような強い日照量を必要としない品種であるため。ちなみにオーセロワはブドウが過熟すると品種の個性が失われる傾向にあるため,早めに収穫が行われる。
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機械による収穫では,ブドウが潰されて,果汁と果皮のマセレーションが始まってしまう危険性があるため,ドメーヌでの収穫は全て手摘みで行われる。収穫したブドウは重みで潰れないように小さなケースに入れて醸造所まで運ばれる。ドメーヌの収穫人の8割が毎年収穫に来る熟練の摘み取り達人で,ドメーヌが望む選果の程度を熟知しているため,選果は各収穫人が畑で直ちに行い,酸化の危険性のある醸造所前での選果台による選果は行っていない。
白ワインとヴァン・グリは,収穫後,直ちに圧搾し,ステンレス・タンクで低温(約17度)で発酵を行う。発酵終了後は,引き続きステンレス・タンクでシュール・リーの状態で熟成を行い,収穫の翌年の春に瓶詰め。マロラクティック発酵は行わない。
赤ワインは約10日間の低温マセレーションの後,温度調節機能付きのステンレス・タンクでアルコール発酵を実施。引き続きステンレス・タンクでマロラクティック発酵と熟成を行う。
スパークリング・ワインは,収穫後,直ちに圧搾し,ステンレス・タンクを用い,低温(約17度)で発酵を行う。発酵期間は約12日。その後,ステンレス・タンクで12ヶ月熟成させてから,瓶内二次発酵に移る。リュミュアージュ(動瓶)は今も伝統的に手で行われ,5-6週間かけて毎日8分の1ずつボトルを回転させていく。瓶内二次発酵の期間は18ヶ月。
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ドメーヌの目標は,ロレーヌ地方において安定した品質のモデルとなるワインを造ること。ワインの個性はヴィンテージに応じて異なるが,常に高い品質を維持し,ワインを味わう人が喜びを感じるワイン造りを目指している。年間生産本数は,約10万本。販売先の内訳は,約40%が個人客で,25%が酒販店,残りの15%はレストラン。主要輸出国は,ベルギー,ドイツ,ルクセンブルグ,オランダ,スイス,イギリス,スペイン,ポーランド,日本,アメリカなど。アメリカのオレゴン州へは,高級レンジの“レ・ゼヴェック”ピノ・ノワールを輸出している。
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Auxerrois AOC Cotes de Toul, Blanc
/オーセロワ(AOC コート・ド・トゥール) 白
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eXperience #2 PINOT GRIS- AUXERROIS Vin de France, Blanc
/エクスペリアンス ♯2 ピノ・グリ オーセロワ(ヴァン・ド・フランス)白
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Gris de Toul AOC Cotes de Toul, Gris
/グリ・ド・トゥール(AOC コート・ド・トゥール) ヴァン・グリ
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Les Eveques AOC Cotes de Toul, Gris
/レ・ゼヴェック(AOC コート・ド・トゥール) ヴァン・グリ
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Empreintes AOC Cotes de Toul, Gris
/アンプラント(AOC コート・ド・トゥール) ヴァン・グリ NV
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Pinot Noir AOC Cotes de Toul, Rouge
/ピノ・ノワール(AOC コート・ド・トゥール) 赤
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Les Eveques Pinot Noir AOC Cotes de Toul, Rouge
/レ・ゼヴェック“ピノ・ノワール”(AOC コート・ド・トゥール) 赤
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Leucquois, Vin Gris/ルークォワ(ヴァン・グリ) グリ NV
スパークリング・ワイン(瓶内二次発酵)==>> 詳細はこちら |
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